KFY-OP北深谷病院 第一病棟・第二病棟2012年

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RC壁式構造の壁はそれ自体が構造体であるためラーメンのフレームに沿った壁とは本質的に異なります。壁式構造の壁は着地していることが大前提ですが。

深谷には明治20年(1887年)から操業を続けている日本煉瓦製造株式会社というレンガ工場がありました。この会社は日本で最初の機械式レンガ工場で、渋沢栄一らにより設立され、東京駅をはじめ明治から大正にかけて多くの近代建築物がこの会社のレンガを使い建設されました。そこから深谷は煉瓦の町としても有名です。一方で現代の日本の建築では煉瓦造という構造形式はほぼ皆無に近い状態です。そこであるのは煉瓦造に見せた煉瓦風タイル貼りです。ここではその煉瓦風タイル貼りが必然的に採用されてます。煉瓦は基本的に積むものであり貼るものではありません。従って躯体に貼っていながらも積まれたように見せる、せめてもの煉瓦風の建物を自然に見せるにはその積まれたような見え方に基づく必要があります。そのためには煉瓦タイルで構成された外壁は着地する、中途から煉瓦が始まる壁はない、上向きに貼らない、そういった点を守りながら建築は構成されていきました。

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幅10m近いこのアクセス通路を跨ぐ様に新規の病棟は計画されました。通路を挟んで一般外来用の入口と管理用の入口が分かれます。その動線は2階で重なりますが同時に建築的には10m近いスパンを床板だけで構成する形になるためここではポストテンションによる緊張力を導入しスレンダーな形態で成立します。

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