SZK-C千束の住宅2010年

SZK-C

目黒区の閑静な住宅地の一画を切り取るような形でコンクリートで囲い込み、その囲まれた中に住居を展開する構成です。いわゆる典型的な都市型住宅として、中庭を挟みその中庭に向かって開放、外部に対してはほぼ完全に閉じたスタイルをとります。

この住宅は中庭を挟んでパブリック棟とプライベート棟なる二つの棟で構成されます。写真はそのパブリック棟の2階の様子。この部屋は約40畳のサイズの書斎でオーディオ機器と書籍をゆるやかに収納する書斎として存在します。約20メートル近くある壁一面を固定式の本棚で覆いその前後は片方は前面道路、反対側は中庭に対して抜けていきます。その方向に沿って屋根はPC(プレストレストコンクリート)による連続したコンクリートのリブをそのまま顕し中庭の向こう側に再び連続するプライベート棟に繋がります。

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書斎から中庭に向かった様子。連側するPCリブで構成される天井は中庭を跨いでプライベート棟の天井で再びその姿をあらわします。

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PCリブによるアーチ状の断面はその立ち上がり部分が壁と家具の背面に隠されています。現場打ちコンクリートの壁の立ち上がりとその上に載るPCリブとの取り合いがややもすると重々しく、しかもその角度が鈍角なためより一層重たさが増すため、ここではその重量感を排除すべく可能な限り軽快な見え方を模索しました。

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道路側を振り返った様子。アーチ状の断面形状の基点となる現場打ちコンクリートの壁との交点はこの様にその前方に置かれたコンクリートの隔て板で遮蔽されます。

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この様に天井に連続するアーチ状のリブはその中心に立って明るい方に向かうとトンネルの出口に向かった時の様な見え方をします。この建物は奥行きが深いため真南に向いた開口部から入る自然光もほぼその開口部の高さ程度のところまでしか届かなくそのままその背後に再び闇を作り出します。

左:上:リビングへの入り口となる階を上がってきたところからガラス越しに内部を見た様子。この状態ではその入り口となる引き戸は閉じた状態。

右:下:同じ場所から見た引き戸の開いた様子。
引き戸は下レールと上部の振れ止めで支えられているためこの様に開いた状態で上レールが現れません。

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書斎のもう一方の入り口から振り返った様子。低く抑えられたコンクリートの天井の下をくぐるとPCリブによる大空間が現れる構成をとります。