UED-C松波町の二世帯住宅1989年

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新潟市西側の日本海沿岸に面する古くからある住宅街に計画された二世帯住宅です。
敷地は住宅地の区割りを2区画結合して2面の短辺方向に道路に面する形状の極端に細長い形状の宅地です。2世帯住宅のそれぞれの世帯がこの短辺方向からアクセス出来、中央にコの字型にえぐられた形状の中庭、及びそれを取り囲む様にダイニング、キッチンといった共有スペースが存在します。
すなわちその共有ゾーンを介して親子二世帯が緩やかに共存するといったスタイルをとります。
構造は木造在来工法によります。新潟で長期積雪荷重に耐えるために柱の径は120角を基本とし、更にこの建物の特徴であるサッシ面を構造フレームから内側に入れて外壁面をサッシの外に出しているため、主要な隅部の柱はその120角のものに対して更に三辺方向に足す形の「三ちゃ合わせ」なる方法を採用しています。この様にして外壁をセラミック質のタイルを用い主要構造からオーバーハングする形で持ち出し、開口部もビル用サッシを用いたため。木造在来工法の雰囲気を消した面による構成が軽やかに木造により表現できたと思います。

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二世帯住宅のうちの片方の玄関の様子。連続する柱が室内の長押の高さで連続します。通路の抜けたところは中庭で、この二世帯住宅を建て替える以前からあった中庭の位置と樹木をそのまま生かしています。
一定のリズムで連続していく柱と筒状に覆い被さる外皮の様子。

左:上:二世帯住宅の一方のアプローチの様子。
長押の高さで連続する梁とその梁に交差する形の列柱が続きます。拒みながら迎え入れるアプローチ。

右:下:もう一方の両親世帯のアプローチの様子。
列柱の位置は子世帯と同じ。外壁面がメインフレームより300mm外側に張り出しているため外壁面の柱はなく、面が大きく1階の欄間により上下に分断されます。